「市民後見人育成研修」実施要綱

 第1 本研修の目的
 (1)成年後見制度の現状
        高齢化の進展に伴い、認知症高齢者はもとより、判断能力が不十分
     な高齢者の独居や夫婦世帯が急増し、他方では支援が必要な障害者の
     増加も目立っています。

   我が国では平成12年に、認知症、知的障害、精神障害などにより
  物事を判断する能力が十分でない方について、本人の権利を守る援助

  者(「成年後見人」等)を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度

  として成年後見制度がスタートしました。

    
しかし、当該制度の利用は依然として低調な状況が続き、しかも成年後
  見人等は、親族を除くとその殆どが弁護士、司法書士及び社
会福祉士
  の専門職の人達で占められています。

 (2)地域後見と市民後見人
      当法人は、判断能力の不十分な高齢者・障害者の皆さんが「いつで
    もどこでも、容易に、成年後見制度を利用して、安心した生活を送る
  ことができる社会を作るべき!」という「地域後見の実現」を目指し
  て活動していますが、その実現のための主役は市民後見人であると確
  信しています。

      厚労省は、平成23年度から「市民後見推進事業」を実施すると

  に平成24年度には老人福祉法第32条の2の規定を新設し
市民後見
  人の育成等を市町村の責務として義務付けたところです。
      また、今年の4月には成年後見制度の利用促進に関する施策を総合
   的かつ計画的に推進することを目的とする「成年後見制度の利用の
  進に関する法律」が成立し、同年5月13日から施行されました。


          このような情勢の中、当方人は今回、本研修実施要綱に基づき「市
  民後見人育成研修」を実施し、地域の皆さんのニーズに十分応え得る
  市民後見人を育成して、地域社会の期待と信頼に応えることといたし
  ました。
         
第2 育成研修の概要 
 (1)育成研修の主催者    
   ア研修主催者:NPO法人成年後見安心サポートネット熊本
   イ後援者:
熊本県、熊本市をはじめ周辺自治体、社会福祉協議
    友好団体、支援団体から幅広く募ります。

  2 研修受講者
  ア 対象人員
    予定人員は40、すべて公募とします。
  イ 応募資格
           熊本県民で、ボランティア活動に情熱がある方であれば、
      国家資格や専門的知識の有無は問いません。後見人として
      自分の力を伸ばしたい方、当法人の指導者としての活躍を志
      す方は積極的に応募ください。

  ウ 公募方法
   ①市町村の広報紙掲載(市政だより等) 
   ②新聞への情報提供等メディアの活用、
   ③チラシの配布
   ④当法人のホームページや定期刊行物「安心の広場」を活用。

  エ 受講料
     一人1万円(教材費を含む。)
    その他
        「受講者募集要項」は別途定める。
   3 研修計画の概要
  ア 目的          
       本研修は、後見人等の職務の遂行に必要な知識及び技能の習得
    を図ることを目的とします。

  イ 研修日時及び場所
   ①開催日:平成2992日(土)~12月16日(土)の間の
       第1、第3土曜日に開催。

       ②時間各日とも10時~17時、1日6時間。延べ時間48時間。
       ③場 所:熊本県婦人会館県民研修センター
             〒860-0844 熊本県熊本市中央区水道町14-21
              TEL:096-354-5650  Fax:096-322-8174
   ウ 研修科目・時間・講師一覧(敬称略)
      ① 法律事務関係〈24時間〉

No

研 修 科 目

時間

講  師 (敬称略)

1

地域後見と市民後見人

2

森山彰(理事・公証人OB)

2

後見人等に必要な民法の基礎知識

3

宮田房之(弁護士・正会員)

3

相続のあらまし

2

赤星憲志 (行政書士・正会員)

4

遺言のあらまし

2

樋口健児(天草公証役場公証人
・賛助会員))

5

法定後見のあらまし

2

村上泰幸(理事・後見人)

6

法定後見開始申立て

1

村上泰幸(理事・後見人)

7

任意後見のあらまし

2

森山彰(理事長・公証人OB)

8

死後事務のあらまし

1

猿渡純雄 (理事長・NECskyOB)

9

後見実務
(財産目録・方針の策定 ・後見等事務処理日誌
 ・収支計算書作成)

3

多田隈祺紀(正会員・後見人)

岩瀬清治 (理事・ニシヨリ(株)OB)

10

任意後見移行型の実務

2

森山彰(理事・公証人OB)

11

後見人実務に関する
ゼミナール

4

協議問題を4班に分けて
4回のゼミ実施。
猿渡純雄(理事長)他

 ② 福祉・介護関係<18時間>

No

研 修 科 目

時間

講  師 (敬称略)

12

地域福祉

2

豊田 保(九州看護福祉大学教)

13

介護予防・日常生活支援

2

熊本市高齢介護福祉課

14

我が国の社会保障

1

石橋敏郎(熊本大シニア教授)

15

介護保険制度

2

石橋敏郎(熊本大シニア教授)

16

在宅介護と施設介護

1

和田 要(熊本学園大学教授)

17

障害者福祉と自立支援

2

今吉光弘(熊本学園大学
     特任准教授))

18

障害者権利条約と日本の障害者支援

2

東俊裕(弁護士・
     熊本学園大学教授)

19

認知症と権利擁護

2

柿本 誠(日本福祉大学
             学園事業顧問)

20

地域包括ケアシステム

1

熊本県認知症対策・
        地域ケア推進課課

21

介護契約と介護サービスのトラブル

1

由井照二(弁護士)

24

年金制度のあらまし

1

高村睦夫(社会保険労務士・
                    正会員

  ③ その他<6時間>

No

研 修 科 目

時間

講  師 (敬称略)

25

高齢者の生き甲斐づくり

1

色見高司(熊本シニアネット代表・正会員)

26

課題研究発表会座談会

3

猿渡純雄(理事長・NECskyOB)他

27

開・閉講式

2

猿渡純雄(理事長) 他

  4      その他
  ア 市民後見人育成研修修了者

     本研修を修了した者には、当法人で「市民後見人研修修了者」と
  しての認証を行い、今後受講者が成年後見制度の分野で市民(NP
     O)後見人として活躍しようとする場合、当法人研修会・研究会へ
  の参加を認め、指導、助言等を行って、その活躍を支援します。

  イ 会員としての活動

      研修修了者が当法人への入会を希望すれば、会員として受け入れ
   NPO後見人としての活躍の場を提供します。

 第3 育成研修の実施効果

(1)良質なサービスの提供

  市民(NPO)後見人は、ボランティア活動を視野に入れて活動
ますので、高齢者や障害者に利用し易く、精神的な安らぎや身上
監護
重視した良質なサービスを提供することができます。

    また、地域に慣れ親しんだ人達なので、地域の資源を有効に活用
て行き届いた後見を行うことができるとともに、地域包括ケアシ
ステ
ム構築の過程においてコーディネーター的役割を果たし得る存
在と
なります。

 (2)急増する需要に対応

  認知症高齢者はもとより、独居老人、夫婦だけの高齢者世帯の急
に伴い、後見人の需要に適切に対応するためには、既存の親族後
見人、
専門家後見人以外で、一般市民から育成したボランティア活
動に情熱
のある市民(NPO)後見人を多数成年後見の場に提供す
ることで、
その対応が可能となります。

 (3)地域福祉の増進に寄与

      市民(NPO)後見人は「地域後見」の理念に基づき、各地域、
     地域で草の根的に活動しますので、地域住民に対する成年後見制度
     の
周と理解の促進に役立つことはもとより、幅広い健康福祉分野の
     見
識をかして、地域福祉の増進に寄与します。
 
 (注1)「後見人等」の説明
          成年後見制度には法定後見と任意後見があり、法定後見は本人の判断能力の差
         により、成年後見、保佐、補助に分かれます。そしてそれぞれ本人を世話する者
       を成年後見人、保佐人、補助人といい、それらを監督する者をそれぞれ成年後見
       監督人、保佐監督人、補助監督人といいます。任意後見には本人を世話する任意
       後見人とその監督をする任意後見監督人がいます。「後見人等」とはこれらの人達
       を総称する名称として使用します。
 注2)「NPO後見人」の説明
         
後見人とは、NPO法人の実施する研修で養成され、NPO法人の正会員と
       して、
NPO法人の指導、監督のもと、後見人等の活動をする者をいいますが、こ
       の
NPO後見人は当法人による第1回育成研修の実施によって、全国で初めて誕生
       いたしました。